こんにちは 管理栄養士の菊池真由子です。
今号では引き続きリクエストのあった「体に良い飲み物」についてです。
今号では、「体に悪そうな気がするけれど止められない」と人気の高い「コーヒー」について解説していきます。
コーヒーの主成分と言えるのがカフェイン。
カフェインにはメリット・デメリットがあります。
<メリット>・覚醒作用(目覚めをハッキリさせる、眠気を吹き飛ばす) ・神経興奮作用(やる気を出す、疲労感がスッキリする)
<デメリット>メリットの正反対の作用を起こします、・安眠を邪魔する ・強制的に疲労感を隠すために、疲労が蓄積しやすい。 ・蓄積した疲労が自覚できないために、突然倒れるような体調不良を起こす
ほかには「大量に摂取すると」、・胃を刺激するために胃痛の原因になる ・利尿作用が効き過ぎて脱水する(コーヒーは水分補給にはなりません) ・酷い場合はパニック障害を起こす*死亡事故もありましたが、尋常ではない摂取量でしたので例外とみないして良いでしょう。
これらを考えるとますます「体に良いのか悪いのか解らなくなる」のですが、メリットを引き出す方法があります。
カフェインの「覚醒」「気分向上」を考えると朝の寝起きや午前中に飲むと1日がスッキリしそうです。
一方で「夜眠れなくなる」と疲労も解消しないので良い事がありません。
そこでカフェインの効果時間について調べてみると、・効果は3.5時間~4.5時間 ・半減するのが6~8時間、というように文献によってバラバラです。
確かにカフェインの効果についてはその効果の強さと持続時間に個人差が大きいものです。しかもこれでは何を信用していいかわかりません。
さらに、カフェインの摂取で「無自覚に睡眠時間が1時間短くなる」「熟睡はしていない」という報告もあります。
様々な文献を強引に平均化すると「寝る4時間ぐらい前までにしておくのが無難そうです。
ですが、寝る前にコーヒーを飲んでもすぐ眠れる人もいます。その場合は2時間程度空けるぐらいで良いかもしれません。
カフェインのデメリットを解説しても「でもコーヒーは好きだから止められない」と寝る前でも飲む人は少なくないと思います。
これはコーヒーの「苦み成分」の影響を受けているのです。カフェインが苦み成分を出しているのは苦みの15%程度のようで、ノンカフェインのコーヒーでも黒い色と苦みは残してあります。
実は苦みという味に中毒性があるのです。中毒というと危険な印象を受けますが、野菜にも苦みがあります。
苦みというのは、最初(飲食しはじめた時期)は本能的に「毒」と判断して苦みを強く感じます。しかし、野菜同様「安全な毒(苦み)」であると解ると繰り返し飲食しても大丈夫と脳が判断します。
すると、今度は苦み成分に強く惹かれるようになるのです。コーヒーの苦みが大好きになる、好きなのでしょっちゅう味わいたい、という心理が働くので、それを「中毒」と表しているのです。
ノンカフェインのコーヒーで苦み成分が少ないと「不味い」と感じてしまうのはこの影響。コーヒーの苦みに中毒性があるから止められないのです。
コーヒーの黒い色は「クロロゲン酸」というポリフェノールの一種です。
黒い色の食品は少なく、コーヒーの特徴的な成分。
活性酸素(体をサビつかせる原因物質)による害を防いでくれ、抗がん物質として注目されています。
しかしカフェインの安全な摂取量やクロロゲン酸の効果のある量はハッキリしていません。
ただし、抗酸化作用や抗がん作用を期待できるほどのコーヒーの量を飲むと胃がやられると思うのです。ですから、適切な量は1日2~3杯、午後6~7時ぐらいまでにしておくのが良いだろうというのが今日の推論です。
それより遅くなるならノンカフェインのコーヒーに替えるのがオススメ。商品によって味にばらつきがあるので自分で試飲して好みのものを探して下さい。
私はコーヒー好きなので、妊娠している時に「カフェインは胎児に良くないので禁止」と言われました。
コーヒー禁止は結構キツくて、飲みたくて仕方がない。そこで子供用のカフェインのない「コーヒー牛乳」で誤魔化していました。
しかし、それでも「子供のため!」と気合いを入れてコーヒー断ちをしていたら、徐々に飲まなくても平気になってきました。
飲まなくても平気になるんですから、やっぱり中毒性があるんだなあと実感する出来事です。
娘が保育園に通うようになり、ある健康イベントに行ったとき、同僚のベテラン看護師さんが「今日は来場者が少ないから1時間先に帰って良いよ」と言ってくれました。
疑問に思って「大丈夫ですよ。保育園の迎えの時間に間に合います」と答えたら「違うわよ。その1時間でどこかでコーヒーでも飲んでひとりの時間を作ってゆっくりしてらっしゃい」という言葉をもらったのです。
その足で1時間かけて久しぶりにコーヒーを飲みました。ものすごく心がホッとほぐれて「慣れない育児に疲れていたんだな」と癒やされました。
私もいつか、この看護師さんのように思いやりのある人間になりたいです。
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