ダイエットクラスブログ

体に良い飲み物って?水素水について

2017年10月12日

こんにちは 管理栄養士の菊池真由子です。

さて、今号ではテーマとしてリクエストのあった「体に良い飲み物って?」についてです。

飲み物については身近に色んな種類があります。

お茶にも緑茶、麦茶、紅茶、烏龍茶、ハーブティー、ほかにもコーヒーや栄養ドリンクなどもあります。

そこで今回はリクエストの多い「水素水」について解説していきます

実は鼻で笑われている「水素水」

ブームになり、しかも「健康に良い」として定着しつつある「水素水」。

その効果は「体内にある毒素を外に出す」、といったものからアンチエイジング、ダイエット、がんに効くなど様々です。

しかし、医療に携わる人や化学、物理、生物の知識がある人からは「荒唐無稽(こうとうむけい):ばかばかしい話」として全く相手にされていません。

その理由は、1)水素水から取り込める水素量は体内に影響を与えるほど多くはない 2)水素水からの水素が体内の活性酸素(体にとっては有害物質)と結びついて無毒化したり体外に出すようなことは化学の構造から計算上で求めることは出来ても、実際に体内でそのとおり働くことは限らない 3)水素水からの水素の効果が考えられるのは、2)の働きぐらいで水素の特徴からして、ダイエットや病気に対して何ら効果を発揮できないことは当たり前のこと 4)体に取り込まれた水素ガスは、呼吸の呼気(排出する息)として、かなりの量がそのまま体外に出てしまう

という水素の科学的特質を知識として持っているからです。

それをいかにも健康に役立つように情報が溢れているのは一部の研究結果を企業の都合の良い部分だけ切り取って過大に広告しているだけである、と解っているのです。

ですので、私も「水素水は詐欺レベルの健康食品」という認識をしています。

本当は止めておきたい「水素水」

水素水は体の酸化、つまり活性酸素が増えて老化や発がんを抑える「抗酸化物質」として効果を強調されています。

広告にあるように卓越した健康効果、つまり老化予防(アンチエイジング)や発がんを抑えるほどであれば逆に過剰症をはじめ、副作用があるかもしれません。

しかし、現段階で水素水の安全性は未確認です。もちろん安全な摂取量の目安もありません。

一時期、抗酸化物質を大量にとることで病気予防になるのではと研究が盛んになりました。

そこでサプリメントで自然界に存在しない量以上に大量に抗酸化物質を摂取したところ「逆に発がん率があがって研究を中止しなければならなくなった」という事態が起きたのです。

この研究をはじめ、様々な研究結果から、欧米の学会の多くが「安易に抗酸化物質やマルチビタミンなどを取ることは健康にマイナスになる」としています。

抗酸化物質は日頃の食生活で取り入れる程度で良い、と考えて良いのではないでしょうか

消費者庁と国民生活センターの声明

水素水は「どんな病気にも強くなる」「がんに効く」「健康になる」「ダイエットに効果的」などうたって広く宣伝されています。消費者庁は2016年3月に「実際の効果効能が実証されていないにも関わらず不実のことを告げている」として「不実告知」と判断しています。

同時期に国民生活センターでも「飲用によって効果があるものではありません」としています。

それならアルカリイオン水は?

水素水と似たような健康効果をイメージさせる水として「アルカリイオン水(活性酸素水)」があります。

これも、開封した途端に「アルカリイオン」が空気中に霧散してしまうのが正しい知識のある人の判断です。(電気のスイッチを入れると電気がつくぐらいの速さで空中に逃げてしまいます)

もちろん、水素水もアルカリイオン水についても人への健康効果の研究が続いています。しかし現状では医学的、科学的な見地からすると「水素水の健康効果はありえない」という状態です。

また、水素水に限らず医薬品や特定保健用食品(トクホ)でもないのに効果効能を表示したり宣伝するのは薬事法など国民の健康を守る4種類の法律のうち3つについて違反をしています。なので「そのような業者は信用できない」と警戒することをお薦めします。

編集後記

今回、水素水について調べることと、世間的に広がっている情報を集めてまとめるのに相当時間がかかってしまいました。

今回、かなり強気で批判しましたが、あまりにももっともらしい宣伝文句が並んでいてうっかり信じ込んでしまうことも仕方ないと感じています。

もの凄く効果がある、と感じていてもそれは「偽薬(プラセボ)効果」かもしれません。(思い込みが実際に効果を出してしまうけれど、それはニセの効果や別の成分や行動が効果をだしているかもしれないこと)

体調が良くなればそれで良いので健康食品の全てを否定するわけではありません。

ですが、医学的・科学的にあり得ない、逆に健康を害すると判断した場合はバッサリ切り捨てるような記事を書くことがあります。

私の論調が全てではありませんが、少しでも「冷静」になって健康情報と向き合って頂ければと思います。

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