ダイエットクラスブログ

間違ったヨーグルトは腸迷惑!

2016年08月09日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今回は、前号で質問が多くよせられた『トクホのヨーグルトでないとダメなのですか?』ということをテーマとします。

トクホ(特定保健用食品)のヨーグルトの良さは、「おなかの調子を良くする」と表示が認められるほど、腸内細菌の善玉菌を増やすことができることです。

「おなかの調子を良くする」ということは、便秘解消などを意味しています。直接「便秘解消」と表示できないのは、トクホは食品であるからです。

便秘は医学的な症状で、「便秘解消」という表記は薬事法で医薬品にしか認められていない内容だからです。

そこで今回、これまで乳酸菌の菌の種類にこだわって
「R-1」ヨーグルト、
「LG21」ヨーグルト、
「PA-3」ヨーグルト
 (以上全て 明治)
「プラズマ乳酸菌」乳酸菌飲料
 (キリン)
を利用してきた方々が、「これらはムダなのでしょうか?」と多くご質問を頂きました。

以上は全てトクホでも機能性食品でもありません。

カンタンに解説すると「R-1」ヨーグルトは乳酸菌の一種である1073R-1菌を中心に作られたヨーグルトです。

公式サイトでは「強さ引き出す」というキャッチフレーズでしたが【何の力を強く引き出す】のか、全くわかりません。
 
LG21」ヨーグルトは乳酸菌の一種であるLG21菌を中心に作られたヨーグルトです。

公式サイトには「リスクと闘う」とあり「胃で生き残る力が強い」とあります。医師が推奨するヨーグルトとしても大きく書かれてありますが、そのコメントは、味や【食品としてのヨーグルトへの評価】であり、個別商品としてLG21だから特に薦めているという内容ではありませんでした。

「PA-3」ヨーグルトは乳酸菌の一種であるPA-3菌を中心に作られたヨーグルトです。

プリン体(痛風の原因物質)と闘う、とありますが、どう闘うのかはわかりません。

「プラズマ乳酸菌」乳酸菌飲料は乳酸菌の一種であるプラズマ乳酸菌(独自命名)を使った乳酸菌飲料で、トクホではありません。(トクホの乳酸菌飲料はありますが、この商品は認証を受けていません)

この商品はプラズマ乳酸菌に関する研究について別サイトを持っています。

公式サイトによると、プラズマ乳酸菌は「これまでの乳酸菌とは異なる免疫メカニズムにで免疫の根本を強くする乳酸菌」であり、詳しく解説があります。

ほかにも、研究成果として
1)かぜ・インフルエンザの症状軽減
2)ロタウイルス(急性重症胃腸炎)の症状緩和
3)マウスによるアンチエイジングと長寿効果
4)インフルエンザの罹患率(かかりやすさ)を低くする
と、紹介されています。

明治の商品が中心になってしまったので同社の批判になり気味ですが、これはたまたま明治が各種の乳酸菌への研究が熱心であり、商品化されている数が多いというだけのことです。

さて、R-1ヨーグルトの「噂」は
・インフルエンザに効く
・風邪に効く
・花粉症に効く
とうものです。

LG21への「噂」は
・胃潰瘍(かいよう)、胃がんの原因になる。ピロリ菌を退治する
というものです。

PA-3への「噂」は新製品なので、調べても出てきませんでした。

プラズマ乳酸菌への「噂」は
・便秘を良くする
・花粉症に効く
・免疫力を高くする

というものです。

乳酸菌は種類を問わず、腸内では善玉菌として活躍します。なので、これらの食品にある菌の種類にこだわらず、善玉菌がたくさん腸にはいってくることで

・便通がよくなる
・免疫力が高くなる
・風邪をひきにくくなる、こじらせにくくなる
・花粉症に対して症状が緩和しやすい
・食中毒にかかりにくくなる・なっても症状が軽い

という健康効果が現れます。

しかし、特定の菌が噂のような効果に対して従来のヨーグルトを構成する乳酸菌に比べていくら強力であっても含まれている量が少なければ、意味がありません。

研究成果のもとに新しく発見された乳酸菌(R-1など)は、自然界にごくわずかにあった菌から探し出されてきた菌ですから、ヨーグルトとして大量に菌を供給するには菌の培養にコストがかかります。

商品の価格をヨーグルトとして無難な値段にするには従来の価格の安いビフィズス菌などに比べて少なめにしか商品に使うことができません。

R-1、LG21、PA-3については具体的にどのような健康効果があるのか、もしくは可能性があるのかなどはWEBサイト上など、一般消費者がわかる範囲では一切かかれていません。

管理栄養士としては、医学的にハッキリと証明されたトクホ、あるいはデータがある程度揃っている機能性食品をおすすめします。

機能性食品は、自社でデータが揃えば届け出をすれば認可がおりる、という企業にとっては手軽な制度です。

いずれ機能性食品として変化するかもしれませんが、菌そのもののパワーを強調しても、データも揃えられない商品は含有される菌量が少ないのではないかと疑ってしまいます。

同時にブレンドされている従来からの善玉菌の効果や「これまでヨーグルトを食べなかった人が噂を聞いて食べ始めたために健康効果がでた」というアピールしている菌とは無関係なところで良い効果が出てきる可能性も否定できません。

ですから、くりかえしになりますが噂が本当かどうかは自分で食べて確かめるしかありません。

なぜ、自分で調べるしかないか、その方法についての詳しくは拙著『食べても食べても太らない法』にあります
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ごく簡単に説明すると10~14日間連続して食べて体調(主に便通)を見るようにしてください。

さて、免疫力に関わる症状である「風邪」「花粉症」などは慌てて食べ始めるよりは、通年を通して食べ続けることが有効です。

そしてどのヨーグルトが良いのかは「自分自身で確かめる」ことに尽きます。腸内の善玉菌を含め、腸内細菌のバランスというのは個人差が非常に大きいものです。なので、遺伝的に体質が似ている親子や兄弟姉妹でも違いがあるのです。

噂を聞いて、鵜呑みにせずに自分自身で目的とした体調にマッチした健康効果が得られるかが重要です。

そして、私が個人的に注意をしたいと考えているのものが3つあります。

1つは花粉症対策。花粉症の症状の軽重は、その年の花粉症の飛散量に大きく左右されます。なので「今年は**を食べていたから花粉症が軽かった」と判断することは出来ません。

たまたま飛散量が少なかったからだけかもしれませんし、自分で、ヨーグルトの摂取と同時に例年はしていなかったマスクやメガネの使用など、花粉をブロックするような行動をしていた影響が考えられます。

もう1つはプリン体に対してのヨーグルト。人間の食品から栄養を消化吸収をしていく過程で痛風の原因になる「プリン体」が作られます。しかし、プリン体が出来る過程と乳酸菌が大きく関与する腸の動きにあまり関係性が感じられません。

公式サイトの説明では全く不十分なので期待過剰になる商品になるのではないかと予想しています。

最後にピロリ菌対策について。ピロリ菌は、胃がんに原因としてハッキリと医学的に証明されています。

胃の調子が良くないなどの不安があってこのヨーグルトを食べるのであれば医師の診断を受けるべきです。

ヨーグルトは食品なのでピロリ菌の数を減らすことは出来たとしても(これもハッキリしません)ゼロにするという「除菌」はできません。

胃がん対策には、「除菌が有効」とこれも医学的に証明されています。

ピロリ菌を保有しているかの有無、除菌は健康保険が適用されますので「不安だからヨーグルトを食べる」ということであれば、必ず受診して除菌してください。

編集後記

私はこれまで毎朝のヨーグルトを「買いやすい(便利)」という理由で、トクホの「メグミルク 恵」を食べていました。

前号でご紹介した紹介したのでグリコの機能性ヨーグルト「Bifix」に変更しました。

すると、食べ始めて3日ごろから便通が明らかに良くなってきました。

しかし、主人は変化なし、娘(小2)は「味がいや」と食べません。

*娘は少し変わっていて、かなりの薄味派。プレーンヨーグルトは、味なしでそのまま食べるので少し甘味のついているBifixは甘さがイヤみたいです。

やはり、「自分で確かめる」のは大事!あと、食べ続けないと意味がないので「味が合わない」のはダメですね。

ダイエットに関してのヨーグルトの正しい食べ方は拙著『食べても食べても太らない法』に詳しく解説しています。メルマガでは繰り返しお伝えしていますが、書籍のほうが、まとまって、より丁寧に書いてあります。

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