こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。
今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!
*今号は胃腸の解説をしていますのでお食事を済ませた後にお読みください。
さわやかな季節を迎え、ハイキングやゴールデンウィークを使って遠出を予定されている方も多いのではないでしょうか。
旅行は楽しいけれど心配なのが乗り物酔い。
一度気分を悪くしてしまうと、なかなか回復しなくて嫌な気持ちを引きずってしまいがちです。乗り物酔いになりやすい人もいて全く楽しめずに嫌な思い出ばかり、というのも残念ですね。
かといって市販の酔い止め薬は眠気が強いため、旅行や遠足の時などに服用するのは気が引けるという人も多いことでしょう。
今回は、ちょっとしたコツで乗り物酔いを防ぐ方法をご紹介します。
実は、乗り物酔いの原因はまだはっきりと解明されていない部分も多いのです。
しかし一般的には、からだの振動を感知する耳の内側にある三半規管(さんはんきかん)という部分がうまく働かなくなることに関係していると言われています。
*このため、三半規管が未成熟な3歳前後までの幼児は乗り物酔いを起こしません。
このほか、過去に乗り物酔いした時の記憶や酔った人を見て自分も具合が悪くなるというような心理的な影響もあるそうです。
しかし、乗り物酔いに最もつながりやすいポイントは身体的な影響です。
そんななかで予防の三大ポイントとされているのは
1)ひどい睡眠不足のままでかけない
2)過労・疲れた状態のまま出かけない
3)空腹のままや食べ過ぎを起こさない
ことなのです。
乗り物酔いを予防するためにはいくつかのポイントがありますが、“薬に頼らない睡眠”を利用する方法があります。
つまり「眠っている間は乗り物酔いを起こしにくい」ということを応用するのです。
乗車してなどしてすぐ睡眠を取り始めると「起きたときには到着していた」となり、現地では楽しく過ごすことができます。
体調に問題がなければ前日1~2時間程度は睡眠時間を減らして調整しても良いかもしれません。
また、到着先で積極的に歩く、活動などをすると帰路は疲れて眠気がでてきますので睡眠をしているので乗り物酔いを防ぐことができます。
しかし、「睡眠」は体調を整えておくことに重要な要素です。
慢性的な睡眠不足や前日の極端な睡眠不足、それらが招く疲労は自律神経の働きを不安定にさせてしまいます。
この自律神経のバランスが乱れると、乗り物の振動や車内のにおいなどに敏感になるためにかえって乗り物酔いを激しくさせてしまいます。
ただし「旅行前は興奮して眠れない!」という場合は、無理に眠ろうとする必要はありません。
ただ目を閉じて横になり、リラックスしてからだを休めておきましょう。
乗り物に酔いやすい人の中には、嘔吐を気にして食べないでいる人が多いようです。
しかし、朝食はとても重要。前日の夕食終了時からの空腹時間が長いために胃の不快感などから吐き気、嘔吐につながりやすくなるのです。
軽く食事を摂っておく方が良いと言われています。
日頃から「乗り物酔いをしやすい」と感じている人は、“乗車中は満腹感も空腹感も感じない”程度に食事の時間と量を調節しましょう。
乗車前2~3時間前に食事完了が目安です。
帰路に起こしてしまいやすい乗り物酔いの原因に、現地での暴飲暴食があります。
特に乗車直前までの暴飲暴食、アルコールや脂っこい食べ物は消化の面でも胃腸に負担をかけますが、乗り物の“揺れ”が嘔吐しやすい状況を作り出してしまうのです。
自分で運転をしなくて良い場合は、度を超して飲み過ぎてしまいがち、メンバー同士で飲酒を進めがちであることを覚えておきましょう。
長時間の旅行で気をつけたいのが「旅行者血栓症」です。
過去には「エコノミークラス症候群」と呼ばれていました。
その由来は、飛行機のエコノミークラスの一人あたりのスペースが狭く、固定された姿勢で長時間座ることが原因で起こる突然の卒倒です。
同じ姿勢で座り続けていると足が圧迫されてうっ血状態となり、血管に血の塊が出来てしまい、血栓が生じます。
これが肺に詰まって「肺血栓症」として倒れてしまう状態のことをさしています。
しかし、これは飛行機に限ったわけではなく、長時間同じ姿勢で乗り続ける列車や場合によっては長時間の連続したデスクワーク、連続放映の映画館などでも起きる現象です。
予防するには、1~2時間おきに足の曲げ伸ばしをする屈伸運動をするのが良いのですが限られたスペースで出来ないこともあります。そこでおすすめの予防法がドリンク類の活用です。
1)水か麦茶がおすすめ
水はそのままでも良いですが、そこにレモンやオレンジの果汁(あるいはスライス2~3枚)をたらして軽く酸味をつけた飲料を持参しても良いです。
柑橘系の酸味と香りは気持ちをリフレッシュさせる他、胃の不快症状を軽くしてくれるので酔いの予防にもなります。
2)スポーツドリンクも便利
水分補給のほか、ミネラル類も補給でき、商品によっては柑橘系などの風味があります。ただし、甘みが強いので飲み過ぎに注意です。
3)食事の前と乗車中に定期的に水分を摂る
食事前は乗り物酔いの原因となる食べ過ぎの予防としても役立ちます。
移動中は、お手洗いの問題が出てくるので1.5~2時間程度間隔をあけて1回に2~3口程度の量を口に含むようにして飲むのがおすすめです。
4)緑茶やコーヒー類、炭酸飲料はNG
カテキンやカフェインの多い飲料は胃腸を刺激するため、酔いからくる嘔吐を誘発する原因になりやすいと言われています。
お茶類はノンカフェイン飲料を選びましょう。この他、炭酸飲料水は膨満感から腹痛や嘔吐を起す原因になりますので避けておきます。
今回紹介したコツはあくまでも参考です。当日は万全の体調にして休暇を楽しんでください!