こんにちは 管理栄養士の菊池真由子です。
さて、連日コロナウイルスの話題が上っています。
そこで先日、メルマガにて消費者庁による「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」を紹介しました。(2ページ目に具体例が書かれています)
そのなかで私自身が「え?なんで??」と思ったのが「ビタミンDのサプリメント」です。
今回は、ビタミンDが感染症予防に役立つのかどうかを調べてご紹介していきます。
ビタミンDは、骨の材料になるカルシウムの吸収を高めます。ですから、骨を丈夫にするビタミンとされているのです。
ビタミンDを多く含んだ食品として公に認められている「栄養機能食品(サプリメントを含む)」の表記も「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です」となっています。この文言、勝手に改変してはいけないもので不動のものです。つまり「ビタミンDは骨を丈夫にするビタミン」というのは鉄板ネタなんですね。
ビタミンDに関して、最近になって研究が進んできていて「心血管系、免疫系などに対して種々の研究が報告されている」と日本人の食事摂取基準2020版(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書)に書かれています。
医学というか栄養学の界隈では、この「食事摂取基準」に収録されている内容は「守らないといけない数値」であるとともに「信頼できる内容が網羅されている」とみなされています。
そこで「種々の研究が進んでいる」とは書かれていても「研究が進んで、良い効果が認められた」とは書いていないわけです。言い換えると「研究は進んでいるけれど、良いか悪いか、なんの意味もないか、サッパリ解ってないんですよ」ということなのです。
ただし、日本で信頼できる研究(JPHC研究)で「ビタミンD不足は発がんのリスクを上昇させることが報告された」と書かれています。
もしかすると、ビタミンD不足は発がんには関係しているかもしれませんが、がんは感染症ではありません。
*一部感染が関係しているがんはあります。基本的に感染症(コロナウイルスも感染症)とは関係ない研究です。
もちろん、骨がもろくなる病気である骨粗しょう症などについてはシッカリ記載されてあります。
私が出来る範囲で調べたところビタミンDの免疫機能に対するプラスの評価の言説と「それはどうかな?」という懐疑的な言説がでてきました。
どちらも研究論文を論拠にしているのですが、このように評価が分かれているということは「ビタミンDが感染症に効果的なのか、免疫機能を高めるのか解らない」ということです。
ビタミンDは取り過ぎ(飲み過ぎ)ると、過剰症といって食品なのに悪い副作用なような症状が起きます。なので、ここは「食事で不足がないようにしておく」のが良いのではないか、というのが結論となりました。
ビタミンDは日光を浴びることで体内に合成されるという面白い性質をもったビタミンです。ですが、これで必要量を補えるわけではありません。しかも近年の屋外活動時間の減少(例えば外で仕事や運動をしないなど)、UVケアの充実、季節や地域による日照時間の違いなどで、実はあんまりアテになりません。
日本人のビタミンDの8割は魚から得ているそうです。(日本人の食事摂取基準2020版より)
ビタミンDが多い魚は鮭、さんま、かれい、ひらめ、たちうお、まぐろのトロ、さば、かつお、ます、いわし、ぶり、しらす干し など。ほかには、きくらげや干し椎茸、キノコ類です。
ビタミンDはサプリメントでわざわざとらなくても手軽な食品でとれますね。
魚の身にはカルシウムも多めです。骨を丈夫にするのは牛乳だけではないのです。
魚そのものはタンパク質源としても優秀ですし、血液サラサラ効果などの健康効果があるので意識して食べたい食品ですね。
今回、最初から消費者庁が「コロナウイルスに対してビタミンDは有効という宣伝はあやしい」と注意喚起という形で否定の結論をだしていたのですが、「なぜ市場でビタミンDが有効なような宣伝ができたのか?」という疑問がわいて調べてみることになりました。
結局「わからないから、有効といえない」という消極的とも思える結末でしたが、この判断が正しいのです。
有効とはいえない、ということは将来有効と解るかもしれないし、逆に無効と解るかもしれないからです。しかも有効であっても体に良くない別の症状を起こすかもしれないので(少なくともビタミンDには過剰症があります)現段階では「感染対策としての広告は認められない」のです。
外出自粛で日々の楽しみが制限されているのでおいしい食事で心がリフレッシュしてみてくださいね。