こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。
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今回は、いよいよシーズン間近になってきた花粉症についてです。
最近マスコミで「花粉症にはケルセチン茶が効く!」というような意味の特集が組まれるようになってきました。
そこで、今号では果たして本当に効果的なのかを調べてみたいと思います。
まず、ケルセチンとは何でしょう?
ケルセチンは黄色の植物の色素です。フラボノイドというポリフェノールの一種で、赤ワイン、タマネギ、緑茶、リンゴ、ベリー類、イチョウの葉などに含まれています。
特に豊富なのが、タマネギです。しかも黄色の色素部分なので、タマネギの皮に大量に含まれているのです。(タマネギの白い食べる部分にも含まれています)
このケルセチンは、これまで血管や細胞の老化を防ぐ成分として知られていました。
血液をサラサラにするとして注目されているタマネギの効果のなかの1つにもケルセチンという成分が活躍しています。
ところが、いま、ケルセチンに花粉症に効果的と脚光が浴びているのです。
ケルセチンが豊富な皮は食べるときに捨ててしまいます。しかし、ケルセチンは熱に強く、加熱しても壊れたりしません。
そこで、タマネギの皮を煮出したお茶がケルセチンを豊富に摂取できる方法として注目されているのです。
ケルセチン茶に関しては、タマネギの外側のお茶というような名称、ケルセチン配合茶などすでに粉末やティーパックの商品も販売されています。
ケルセチンのサプリメントも販売されていますが、こちらは花粉症というより血液サラサラ効果をイメージさせるような販売戦略がとられています。
そこで、ケルセチンについて独立行政法人健康・栄養研究所の「健康食品」の・安全性・有効性情報で調べてみると、
「特に影響はなかった」とされています。
また、世界中の健康食品やサプリメントについて科学的根拠に基づいて調べてある『ナチュラルメディシン・データベース:健康食品・サプリメント(成分)のすべて』(日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会 監修)によると
花粉症の治療につては「効くと断言できませんが、効能の可能性が科学的に示唆されています」と、なっています。
*科学的根拠とは、個人的な経験や古くからの伝統ではなく、科学的な研究(詳しい綿密な研究)によって実証されている内容という意味 です。
つまり、ケルセチン茶を飲んでも花粉症に効くかどうかは個人差があって、効くかどうかは解らない。試して、症状が収まればラッキーぐらいなもの、という程度でした。
ケルセチン茶を試してみる場合は、毎日2週間~1ヶ月程度以上は飲み続けなければ効果を実感しにくいでしょう。
もちろん、飲んでみて体調が悪くなった場合(吐き気や下痢など)は即、使用を中止しましょう。ケルセチン茶があなたの体に合っていない証拠です。
このような場合は無理をして飲み続けても、花粉症が治る・軽くなるといったことはありえません。
このほか、症状が重いときにだけに飲む、といった「時々思いついたときに飲む」という方法では全く効果が表れません。
残念ながら、効果には期待薄ですが、花粉症で悩んでいて、これまで色んなお茶を試してみたけれど、どうも効果が実感できなかったという方は試してみるのも良いかもしれません。
また、タマネギの外皮を自宅でお湯で煮出してお茶にする方法もあります。
しかし、この場合はタマネギの外皮を十分に水洗してきれいにしておく必要があります。特に根に近い部分は雑菌が多いので、多めに切り落としておきましょう。
次々と、毎年花粉症に関わる健康法がマスコミで紹介されています。
特に健康雑誌などに多いのですが、管理栄養士の立場として、「その説明は強引で、こじつけなのではないか?」と思うような記事が目立ちます。
これまで、私も健康情報雑誌の取材を何度か受けたことがありますが、ちょっとした一言を大げさに書かれて「すぐ治る」みないな表現にされてしまい、困ってしまったこともあります。
以来、懲りてしまって健康情報雑誌の取材は納得のいく範囲でしかお受けしないようにしています。
健康情報雑誌は、「いかに興味を引くように」ということを大きな目的にして作られいるので「話半分」ぐらいの気持ちで読まれるのが良いでしょう。
花粉症に関しては拙著『花粉症からあなたを守る食事学』にて、詳しく解説しています。
いまだ花粉症対策の食事については謎が多く研究が進んでいません。
同書では、科学的根拠に基づいて花粉症の症状を軽くする外食のコツや日頃どんな食品や料理を食べると症状が軽くなるかを食品名や料理名をあげて解説しています。
ぜひお手に取ってください。