ダイエットクラスブログ

アマニ油やエゴマ油で免疫力がアップするでしょうか?

2015年10月18日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。今回も、メルマガ「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いていきます。

皆様は、「普段使いの油」について健康を気遣って、どんな油を使うかを気にしていることが多くないでしょうか?

例えば普段使いの油を一般的なサラダ油ではなくオリーブ油やキャノーラ油などにしていませんか?

このように家庭で使う油は健康志向によって使う種類にこだわりが出たり、またそれに応えるように多くの種類の油が市販されています。

今回は、拙書『免疫力を上げるコツ』の読者のかたからメールを頂きました。

同書は院内売店専売書籍で、療養中の方からお便りをよく頂きます。(ネット書店でもお求め頂けます)

そのなかで、【アマニ油やエゴマ油で免疫力がアップするのか】というご質問がありましたので、お答えしていきたいと思います。

まず、アマニ油、エゴマ油とはどんな油かを紹介していきます。

アマニ油とは日本アマニ協会によると次のように解説されています。

***引用ここから(一部改変)

アマニ(亜麻仁)は、亜麻科植物の種子(仁)のことです。英名 Flax Seed (フラックスシード)、と言います。アマニの栄養成分は 脂質が約 40%(:大豆では約 20%、ゴマ約 50%)と多く、中でもn-3系脂肪酸のα-リノレン酸が約 60%を占めています。

***引用ここまで

次にエゴマ油は農林水産省によると

***引用ここから

シソ科の植物、エゴマの種子からとる油。独特の風味があり、日本では古くから使われてきた。必須脂肪酸の一種であるα-リノレン酸はエゴマ油などに、リノール酸は大豆油、ゴマ油などに多く含まれています。

***引用ここまで

これで、油の正体がわかってきました。

アマニ油、エゴマ油ともにα-リノレン酸が豊富な油なのです。

ではα-リノレン酸の効果というと、

1)花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなど。アレルギー正の病気を改善する

2)脳細胞を活性化

3)血栓を解消して血液の流れを良くする

4)血圧をさげる

5)がん細胞を変化させ増殖を抑える 
                                                                     
とされています。

特に注目されているのが1) と5)です。

どちらも、個人の持つ免疫力や免疫システムのバランスを下支えする効果といえるものです。

そこで詳しく調べたのが次のとおりです。

国立栄養・健康研究所の「健康食品の」の安全性・有効性情報によると

***引用ここから

ヒトでの有効性については、食事からの摂取で、心臓血管系疾患を予防するのに有効性が示唆されている。

***引用ここまで

ここのデータベースで調べたところ、アレルギーやがんなど免疫に関しては評価が分かれていてハッキリしていませんでした。

世界中の健康食品やサプリメントの成分に科学的に検討してある『健康食品・サプリメント(成分)の全て』(総監修 日本医師会/日本薬剤師会/日本歯科医師会)によると、がんやアレルギー抑制に関する健康効果について、科学的根拠が不十分としています。

しかし『からだに効く栄養成分バイブル』(監修 中村丁次 神奈川県立保健福祉大学栄養学科教授 元日本栄養士会会長)によるとラットの実験ながら、がんの発生を抑制すると紹介しています。

以上のことから、α-リノレン酸については、アレルギーや発がん抑制などに関して科学的根拠があやふや、発がんに関しては動物実験ながら抑制効果がみられる研究報告とそうでない研究報告が混在するということがわかりました。

注意点として、国立栄養・健康研究所のデータベースでは

アマニ油に対して

***引用ここから

・脂肪は高カロリーなので摂り過ぎると太る。
・食品中に含まれる量であれば、経口摂取でおそらく安全であるが、多量摂取した場合の安全性については十分なデータがない

***引用ここまで

という内容を示しています。これは同じく油であるエゴマ油にもいえることではないかと推測できます。

つまり、

1)油なので過信して食べ過ぎると肥満になってしまう。 (注:肥満は発がんの原因です)

2) 食品として食べるには問題はないけれど、自然界ではアリエナイほどの量を凝縮させてある健康食品やサプリメントでは安全性が保証できない

ということです。

発がん抑制をはじめ、アレルギー抑制などα-リノレン酸と免疫に関わる事柄は研究報告が入り乱れていることからまだまだ研究途上のようです。

しかし、発がんに関しては抑制効果が認められた研究が複数あるため、食品として食生活に取り入れて食べてみても良いのではないかとも考えられます。

よってアマニ油、エゴマ油での免疫力アップは確実ではないもののがんと闘う、という意味では期待はできるかもしれません。

もしアマニ油やエゴマ油を取り入れる場合は1日ティースプーン1杯程度でドレッシングの材料にするのがおすすめです。

これはα-リノレン酸が熱に弱いため、炒め油に向いていなく、そのまま食べるほうが効果的なためです。量は、油なので控えめにしておくのがコツ。食べれば食べるほど効果が出るものではありません。量を過ぎで発がんの原因である肥満や脂肪の取り過ぎにならないようにしましょう。

しかし、入院中で治療食を召し上がっている方が提供された食事にこれらの油をたらして食べるのは禁物です。治療食は、そのかたの治療の一部です。医薬品の投与だけが治療ではありません。食事も立派な治療の一環なのです。体調や使用医薬品などを勘案してそのかたの健康や回復を考えてあるメニューなのでこれらの油を使う必要はありません。

入院中の食事には自己判断で何らかの食品を足したりしないようにすることがベストです。不安や疑問があれば、遠慮なく主治医や入院している病院の管理栄養士にご相談下さい。