ダイエットクラスブログ

がんの再発予防と関連する健康食品について

2015年09月09日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

さて、9月からのアマゾンキンドルの月替わりセールに拙著『頭がよくなる食事習慣』が取り上げられています。これを機にぜひお手にとって下さい。

*キンドル版の電子書籍は、スマホ、タブレットパソコン(Macを含む)で読むことができます。

今回はリクエストのありました「がんの再発予防と関連する健康食品について」をお送りします。

がんにかんしては、がん予防の研究は相当進んでいるのですが、再発予防に関しては研究が手薄で情報が不足しているのが現状です。

再発予防については拙著『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい食事と生活習慣』にて解説しています。

ですが、今回、再発予防のために、免疫療法と健康食品であるフコイダンについて詳しく知りたいとリクエストを頂きましたので、取り上げていきたいです。

まず、免疫療法ですが、こちらはがんの治療や再発予防に様々な手法がありますが、すべて治療行為です。

このため、治療に関する解説は医師に限定すると医師法で決められていますので管理栄養士の私では記事に出来ません。

遵法範囲でメールマガジンを運営しているのでご理解をいただけますようお願い申し上げます。

しかし、健康食品であるフコイダンについては食品ですので、しっかりと調べてお伝えすることができます。

フコイダンは昆布やわかめ、もずくなどの褐藻類だけに含まれるぬるぬるした物質で、特にとろろ昆布の原料になる「がごめ」昆布に多く含まれています。

抗がん(がん細胞を死滅に導く、増殖を抑える)作用が注目され、健康食品として販売されています。

フコイダンを国立栄養・健康研究所による「健康食品」の安全性・有効性情報のデータベースで調べたところ、有効性の総合評価で

***引用ここから
・ヒトに対する有効性については、調べた文献の中に信頼できる情報が見当たらない
***引用ここまで

となっています。

また、さらにフコイダンについて詳しく調べるために健康食品やサプリメントなどの効果、安全性になどを明示する世界標準データベースである『健康食品・サプリメント(成分)のすべて』(総監修 日本医師会/日本薬剤師会/日本歯科医師会)の最新版で調べたところ、フコイダンは【未収録】でした。

以上のことから、フコイダンの健康効果については期待される効果が得られるかは謎で、しかも正確な情報が得られませんでした。

フコイダンに関しては、ネット上で医学的に怪しげな情報が飛び交っているのが事実です。

がんが「治る」「消える」などと健康食品に医薬品のような宣伝文句をつけるのは薬事法違反で厚生労働省が取り締まりますが、基本は健康食品はあくまで「食品」であるため、厚生労働省は「医薬品でないためにノータッチ」です。

健康食品やサプリメントは消費者庁の管理下におかれていますが、その成分と評価については、市場に出回っている成分を網羅するにはまだまだ追いついていないのが現状のようです。

さて、ヒトに対する有効性の情報が見当たらないのにがん細胞に対する効果がうたわれているのは、マウスやラットなど実験用動物での実験結果による場合がおうおうにあります。

実験動物とヒトでは遺伝子構造からして異なるので、実験結果をそのままヒトにあてはめることは出来ないし、してはいけないのです。

しかし、実験動物などの実験結果が一人歩きをして体の健康維持増進や特定の病気への改善効果があるようにして販売されている健康食品や特定の成分は数多くあります。

現在ヒトでの有効性が確認されていないということは、Aさんには良い効果があったとしても、Bさんには何ら変化が無かった、あるいは悪い変化が起きるかもしれないということを示唆しています。

以上のことから、「フコイダンを利用することでがんの再発を予防する」とするのは期待しすぎかと思われます。

がんに限らず、病気などに効果のあるとイメージさせる健康食品類では、動物実験のデータや個人の体験談で紹介されることがよくあります。しかし、ヒトでの有効性が認められていないのであれば、「誰にでも健康を害せず、狙った健康効果だけを享受するだけの成分である」という科学的、医学的根拠がないということです。

もちろん、フコイダンに関してもこれからの研究途上であるとは考えられますが、個人の体験談では、個人差が大きすぎて自分にとって有効かどうかが誰にもわからい状態です。

強いて表すなら、利用して自分の体調が良くなっていれば使用を続けても問題はありませんが、使用前と比べて変化がなければ無駄な健康食品であるといえます。

もちろん、体調を崩すような場合は即中止するべきです。健康食品は、あくまで食品であるので「この苦しさを乗り越えれば」というようなガマンをする必要は一切ありません。

健康食品は形状が一般の食品と異なって医薬品をイメージするような形やビンにはいってドリンク剤のようになっているなどして特別視しがちですが、あくまで「食べ物」であって薬のような効果は期待できません。

がんの再発予防はがんの初発予防に準じる、というのが、一般的な見解です。

初発予防についても、先に紹介した『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい食事と生活習慣』にて詳しく解説しています。

このほか、日本人のためのがん予防法を参考に再発予防にとりまれることがおすすめです。

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