こんにちは 管理栄養士の菊池真由子です。
今号ではテーマとしてリクエストのあった「摂食障害」です。
まず、摂食障害とは神経性食欲不振症(拒食症)、神経性大食症(過食症)など、食をめぐる行動や心理の問題の総称です。
身体的症状としては体重が減る、月経がとまる、あるいは過食が出るということ、心理面では「体に対しての感じ方の障害」(もっと痩せなければと過剰に考えてしまう、自分の体重への焦りなど)ということが起きています。
今回は、摂食障害全体についてお伝えしていきます。解説が長くなりますので来週にも分けてお話しますね。
【厳重注意】体重40キロ以下になった場合は入院治療が必要です。本人が拒否しても無理矢理にでも受診させます。栄養失調を起こしていますのでまずは内科で体力を立て直すことが一番です。
内科で栄養失調に対する処置が始まっても、現在自宅で「拒食症」「過食症」で悩んでいれば「体重が増えることへの恐怖」が大きく残っています。
そこで必要になるのが「自分の本質を知る」ことです。
内科で治療を受けても、内科では「体重を増やして健康を取り戻す」ということを目標にしてしまいます。
すると体重を誤魔化そうとしてウソの申告をしたり、重いものをポケットに隠し持って体重測定をするという例は少なくありません。
そこで必要なのが心療内科での受診やカウンセリングなど心理面でのサポートを得ることです。
このほか 1)体重が減る前の体重と気持ち、体調 2)体重が減り始めた時の体重と気持ち、体調 3)摂食障害かな?と思った時の体重と気持ち、体調 4)現在の体重と気持ち、体調、をノートに書いて「体の感覚」「気持ち」を整理してみましょう。
そして毎日「今日の体重と体調」を例えば、45キロでないとイライラする、今まで楽に歩けていた駅までの道のりが遠く感じる、というように書くのです。
摂食障害の人は、自分の体重へのイメージを曲解して(間違って)いるために起きてしまいます。ですから、日記のように自分で気持ちを振り返り、同時に起こった体調の変化を把握していくのが良いのです。
心療内科やカウンセリングを受ける場合にもこのノートを持参すると非常に効果的です。
もちろん、最初の頃は自分で気づくことは難しいです。少し時間がかかるのは仕方がないこと、と考えましょう。
摂食障害があると「夜中の間に過食嘔吐して(食べては自分で無理矢理吐いて、食べたことをなかったことにしようとする行動)明け方近くにウトウトし、午前中一杯寝ていることがよくあります。
起きると「またやってしまった」と後悔して再び過食嘔吐をしたり、絶食したりして夜になるとまた過食嘔吐を繰り返す、と悪循環に陥ってしまいます。
そこで、このような行動(症状)がでても「必ず朝食は食べる」と決意しなければなりません。
朝食は1日の食欲をコントロールする働きがあります。食べた方が過食に走りにくくなるのです。
最初は負担でも、過食したあとの生活リズムを立て直すことが過食を抑える第一歩です。
過食をしても過食をする量が減ってきます。
漠然と「朝食を食べる」とすると夜中にずっと起きてしまいがちなので、まずは朝食を食べる時間を決めると眠る時間の目安が出来ます。
初めは難しいでしょうけれど、過食を抑えるために必要だと理解することから始めましょう。
家族と一緒に食べることで、食事時間が決まりやすいメリットがあります。
ですが、食事内容や量は同じでなくて構いません。特に拒食症の人は量が食べられないので食事が辛い行動なのです。
しかし、量やメニューが違うと自分を責めたり家族に責められるのではと心配になることもあります。そんな時は一人で食べたほうが良いでしょう。
自室で一人で食べると、過食行動が抑えられないこともあるので別室で食べることがおすすめです。
注意したいのが、家族は摂食障害の人と同じメニューを食べる必要はありません。
過食の症状改善には「自分のペースで自分で食べる(食事の自立)」ことが重要です。なので、本人が食べることに対して「自分のため」なのか、「家族の心配を軽くするため」なのか、あるいは「家族が自分のいいなりになってくれて満足」としてしてしまうのかと、考えがズレてしまうことがあります。
ごちゃ混ぜにならないようにするためにも家族は本人の意思を尊重はするけれど、協力するだけ、という立場を守りましょう。
なので、一緒に食べることを強要すること、同じメニューを食べないことを責めてはいけません。
あくまで食事は本人が納得のいく内容と量で時間を決めて食べる、夜は「朝食を食べるために早く寝る」という行動をサポートしましょう。
私がやっている無料栄養相談に摂食障害でお悩みの方は少なくありません。
身近に相談できる人がいない、という場合も多く、今回は私自身がかなり熱くなって書いてしまいました。
摂食障害の悩みは「誰かに苦しみを打ち明けにくい」という特徴があります。
メールでの栄養相談では、誰にも内緒で相談できます。食事についてしかお話できませんが、私でお役に立つことがあれば、と思いながら返信を書いています。
このメルマガがお悩みの解消の1つになることを切実に祈ってます。
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