ダイエットクラスブログ

MEC食でダイエット

2016年12月13日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、メルマガ「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号ではテーマリクエストにありました「MEC食にしたら塩分を取りすぎて血圧上昇」です。

「MEC食」ってなに?

MEC食とは、

Meet=肉
Egg=卵
Chesse=チーズ

の頭文字を取ったものです。

この3つを毎日たっぷり食べ、炭水化物(糖質)を多く含む穀物・果物・野菜を控えるという食事方法です。

沖縄県にある「こくらクリニック」院長渡辺信幸氏が提唱している食事方法で、糖尿病・高血圧・脂質異常症(高脂血症など)を改善し、ダイエット効果もあるとしています。

低糖質ダイエットとの違いは?

低糖質(あるいは糖質制限ダイエット)では、糖質を制限することを優先し、その代わりに肉類や豆腐、魚、そして糖質の少ない葉物野菜を食べる方法です。

MEC食は優先順位が糖質の量を減らすことでなく、食事の基本として肉・卵・チーズを食べることです。そして「ひとくち30回噛むこと」として良く噛んで満腹感をだすこと、それでも足りない場合は葉物野菜を食べることとしています。

糖質の多いお酒やスイーツ類は?

まずはお酒。

低糖質ダイエットでは、お酒類は糖質の少ない「糖質ゼロ・オフ」、焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウオッカなどを勧めています。

MEC食では、通常の食事が肉・卵・チーズであることから実際には「スーパー低糖質」状態になっています。そこで糖質の多いビールもたまには良いでしょうとしています。

スイーツ類(全般に糖質類が多い)に関してはどうでしょう?

低糖質ダイエットでは「多少良いでしょう」というスタンスです。しかし、糖質の少ないティラミスやレアチーズケーキなどをすすめています。

MEC食でも「たまには」としていますが、こちらはお酒の時と同じように、基本が徹底した低糖質状態の食事内容になっているので「たまには(糖質の多い)シュークリームやアイスも良いでしょう」としています。*ただし和菓子はNG

つまり、MEC食はベースの食事の糖質量がものすごく少ないのでたまには糖質の多いものを食べても大丈夫となっているところに違いがあります。

MEC食に関しては、実践を続けると甘い味(糖質の味)に敏感になっていってしまい、徐々に「ジュース類など(甘すぎて)飲めない」と味覚が変化してしまうそうです。

MEC食の効果は?

ごくカンタンに説明すると

1)3つの食品をとることによって、1日に必要な栄養素を取り込める
2)カロリー計算をしなくて良い
3)糖尿病や生活習慣病が改善
4)ダイエット効果

が、あるとされています。

しかし、これは本当かどうかわかりません。

低糖質ダイエットにも共通して言えることですが、あくまで「個人の医師による食事指導の結果」だからです。

個人の病院では、医師から指導を受けて【上手くいった人は通院を続けるけれど、上手くいかなかった人は勝手にほかの病院に転院する】からです。

なので、提唱している医師のもとには「上手くいった人のデータ」ばかり集まってしまいます。

食事療法の成果を正確に判断するには「MEC食を食べている人」と「そうでない人」を同時に同じ人数で、年齢・性別・日常の活動状況・期間など諸条件を揃えて比較してみないと「そうでない人に比べて実践している人のほうが健康状態が優れている」とは判断できないからです。

低糖質ダイエットもMEC食も新しい食事方法として注目されています。しかしこれまでの栄養学や食事療法の手法とはかけ離れています。

こういったことは専門の研究家が行うことです。特に病気の改善についてはシッカリとした研究が必要といえます。

現状では「上手くいった人の体験談の寄せ集め」であり、失敗した人の話題はかき消されます。

今回のテーマも「塩分過多で血圧上昇」とデメリットでお悩みです。

低糖質ダイエットでも失敗して逆に太った人も少なくありません。

塩分過多で血圧上昇した理由は?

MEC食を提唱している渡辺氏の著作では「塩分を控える必要は全くない」「食塩感受性高血圧(塩分過多で血圧が上昇すること)はせいぜい1%。ご飯を食べるなら味の濃い(塩分のある)おかずを食べてしまうが、MEC食ではご飯を食べないので自然と薄味、減塩になる」という趣旨を書いています。

しかし、肉や魚を食べるにはやはり塩は欠かせません。ステーキやハンバーグ、焼き魚の塩、刺身のつけしょうゆなど肉類や魚を食べるには塩分が欠かせません。もちろんチーズにはカマンベールなど少なからず塩分があります。野菜を食べるドレッシングにも塩分があります。

自然に薄味になる、とのことですが、肉や魚にはたんぱく質のほかに脂肪が含まれています。

この脂肪を食べるには塩が欠かせません。しかも脂肪が塩分を包んでしまうので、多めに使わないと美味しくありません。

ですから、自然に減塩できているかというとそんなこともなかったのかもしれません。

更に「野菜の優先順位が低すぎる」ことも塩分過多の理由になります。

野菜には、特に生野菜にはカリウムが豊富。このカリウムが体内で余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出させる効果があるのです。野菜(カリウム)不足から、塩分過多になった可能性も大です。

また体重が増えると血圧は上昇します。MEC食でダイエット効果がでず、逆に体重が増えると血圧は上がってしまうのです。

【参考文献】『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな』 渡辺信幸

編集後記

改めてMEC食と糖質制限ダイエットの勉強をしました。管理栄養士の立場では難しい話ではありませんが、MEC食に関しても「それで大丈夫なのか?」というデメリット部分を感じてしまいます。

現在多く頂いているテーマリクエストが終わったらMEC食のメリット・デメリットについて取り上げてみようと思います。