こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。
今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!
7月8日(金)に開催された『食べても食べても太らないダイエットセミナー』にはたくさんの方がお越し下さり、ありがとうございました。
時間を超過してのセミナーとなりましたが参加者の皆様の熱心なご質問など、このダイエット方法に大きく関心を持って頂いたことに嬉しく思っています。
会場参加をされた方には特典として当日配布のダイエット何でも相談用紙に記入頂いたご質問に個別に回答をさせて頂きます。後日まとめてQ&A集としてまとめてお送りしますので、ご期待ください。
さて、この相談用紙でも、そしてこれまでにメルマガへのテーマリクエストとしても
【糖質制限ダイエット】
についてのご質問をたくさん頂きました。
そこで、今号では【糖質制限ダイエット】について解説していきます。
さて、糖質制限ダイエットですが、私のところに相談にこられる方は「そもそもどんなものかよく解らない」「やってみたけれど、体重が落ちない」など、興味はあるもののやり方が解らない方、上手くいかなかった方の話ばかりが集まってきます。
しかし、マスコミやネット上では「上手くいった人」の話であふれています。
これはどういうことでしょう?
これは、どんなダイエット方法や健康法であっても共通することで、
「上手くいった人の話題は大きくとりあげられる」
「成功したひとは声高に成功を宣伝する」
のですが、
「上手くいかなかった人は、がっかりして、口を閉ざしてしまう」からです。
また、マスコミも流行の話題ですからどんどん取り上げます。
しかし、実際は熱心な「成功例」ばかりを集めて盛り上げてしまう傾向があるように感じています。
調べた範囲では、糖質制限ダイエットは、提唱者が大勢いて、少しずつやり方が違うようです。また、なんとなく「ご飯や麺を減らせばいいんだ」と自己流で行っている人が多いようも感じています。
提唱者は主に医師ですが、自分が経営する医院での実績が「このダイエット方法の有効性を語っている」とする傾向が高いのですが、これは鵜呑みにしてはいけません。
というのも、先に解説したとおり、上手くいった人は通院を続けて喜び、上手くいかなかった人は何も言わずに通院をやめてしまい、「上手くいかなかった人達の声」は医師の耳に届かないのです。
ですから、特定の医療機関だけでの良い結果が、全ての人に良い結果をもたらすとは限らないのです。
そこで、専門機関による第三者の立場である研究者によって、きちんと調べられるべきなのです。
世界中で調査研究が行われているのですが、現在のところ「糖質制限ダイエット」に関して科学的に調べるのが難しく、最終的な結論にいたっていないのが現状です。
つまり、科学的・医学的にダイエット方法として有効かどうかはまだわかっていない、ということなのです。
この理由は、2つあります。
1つは、糖質制限ダイエットを始めたら、「やせたい気持ち」が強くなって、同時に他に「やせるような行為」をやってしまい、純粋に食事の影響を計り知ることが難しくなるのです。
例えば、糖質制限ダイエットを開始したら同時に【今までやらなかった】脂肪も制限しはじめる、運動を追加する、毎日体重計にのるようになる、など、いろいろなダイエットに関わる「良い」と考えていることをやりはじめてしまいます。
すると、体重が落ちた成果は食事だけの影響とは言い切れなくなります。
もう1つは、糖質制限ダイエットをはじめても、いつのまにか、気持ちがゆるんでこれまでどおりの食事に戻ってしまうからです。
オーストラリアの研究では、「研究に協力してもらう」という前提で「自由に食べる」「低糖質食」「低脂質食」「高不飽和脂肪酸食」(オリーブ油などを多く使う食事)の4つのグループに分かれて、指示通りに食べてもらいました。
ところが、研究開始3ヶ月程度までは守れていても半年を経過すると、「低糖質」「低脂質」のグループともに、平均的なオーストラリア人の糖質・脂質摂取量になりました。つまり「いままでどおりの食事」に戻ってしまったのです。
「研究に協力する」ような人達ですらなかなか食事を「低糖質のまま」「低脂質のまま」を維持するのは難しいようです。
しかしこれでは、「低糖質ダイエット」を続けて体重がきちんと落ちるのか、このダイエット方法は安全か、という重要な部分が全く検証できません。
現在、言えることは「効果がある人もいれば、ない人もいる」ということと、長期間(半年以上など)続けて健康に悪影響を及ぼさないかはハッキリわからない、ということです。
噂レベルで、低糖質ダイエットと急死の因果関係を示唆する記事が出てくるようになりました。
ですが、「これでがんが消えた!」というような書籍の著者ががんで死亡することもありますから本当に、健康と食事の因果関係を見極めるのは難しいのです。
私個人の考えとしては、安全性が確立されていないダイエット方法はおすすめできないです。
「低糖質」であっても「低脂質」であっても、これまでの食生活を勘案して、「低糖質」ダイエットが向いている人、「低脂質」ダイエットが向いている人、単純に「食べる量を減らすだけで効果がでる人に分かれるのではないかと推測しています。
これまで「うどん+ご飯」みたいなランチを食べていた人は「低糖質」にしたほうが良いですし、「カツがサンドされたハンバーガーとポテト」を食べていたような人は「低脂質」に切り替えるとダイエット効果はでやすいでしょう。
しかし、それもある程度のところで体重の落ちは止まります。
それは、今までの「高糖質」あるいは「高脂質」といった偏りが軌道修正された結果だからです。
ダイエットとは、落ちた体重を維持することがとても重要です。
糖質も、脂質も同じエネルギー(カロリー)量であれば体の脂肪になって太りやすくなるのは同じです。どちらかが一方的に体の脂肪になりやすい、というわけではありません。
ですから、「食べる量そのものを見直す」ことが重要です。
なので、もし「糖質制限ダイエット」を始めてみるなら、これまでよりも全体的に食事の量を減らしていきましょう。同じ量を食べていては、糖質を減らした分、脂質の摂取量が増えてしまい、摂取総カロリーはダイエット前と変わらなくなってしまうからです。それでは絶対にやせません。
こういった理由から拙著『食べても食べても太らない法』ではムダな食欲を消して、食事の満足感はそのままで、いつのまにか摂取総カロリーが減ってしまう、あるいは糖質や脂質が燃焼して発散するような食べ方を紹介しているのです。
詳しくは
『食べても食べても太らない法』(三笠書房)にあります。
アマゾンでは在庫切れのままで、書店としてのヤル気を疑うような・・・。
【ほしいものリスト】に入れていただけると嬉しいです。近日中に入荷予定です。
現在は、全国書店ネットワークe-hon(お近くの書店にお届け)
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いますぐダイエットをしたい!と思われていましたらお近くの書店にもならんでいますので、ぜひお手にとってみてください。
*三笠書房「知的生き方文庫」のコーナーにあります。