ダイエットクラスブログ

プリン体ゼロのビールの効果はいかに?

2016年03月07日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、メルマガ「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いていきます。

ビール飲料の種類が豊富になり、そのなかに「プリン体ゼロ」というものがあります。

「プリン体ゼロ」という商品がなぜ産まれたのか想像がつかない方も多いかもしれません。しかし、ビールでプリン体ゼロというのはある人達にとっては大問題!

なにしろビールには大量のプリン体が含まれているのです。それがゼロになったのだから、気にせず飲むことができます。

その「ある人達」とは、プリン体の摂取を避けないといけない人です。どういう人かというと痛風で悩まされている人達です。

痛風は高尿酸値症が長く続いた状態のことで、血液中に尿酸値が異常に多くなっています。

メタボ検診のチェック項目に「尿酸値」が入っていないので忘れられがちなのですが、生活習慣病の1つです。

痛風の由来は「風が吹いても痛い」というほどで、その痛みは電撃痛と表現されるほどの激痛です。

痛風の症状(痛風発作)は、痛みだけのものですが、甘く見てはいけません。痛風は、メタボや高血圧、脂質異常症(高脂血症)と併せ持っている人が多く、生活習慣病が体で起きているサインです。

ある日突然心筋梗塞や脳梗塞といった生命の危機に関わる病気が隠れているかもしれません。

痛風(高尿酸血症)と診断を受けると、「プリン体」を多く含む食品を避けるように指導されます。

プリン体とは、食品中に含まれる成分なのですが、尿酸値をあげてしまうのです。そこで痛風と診断された場合は、プリン体を連続して大量に食べないようにすることが大事になります。

そして、プリン体が多く、連続して大量に食べてしまう、イコール飲んでしまうのがビールだったのです。

そこでプリン体ゼロのビールがもてはやされたのですが、実はこれは勘違い。

プリン体がゼロのビールでもアルコール分は含まれています。

プリン体ゼロのビールであっても、あるいはどんな種類のアルコール飲料でも、アルコールが肝臓で尿酸を作り出すことを促進させてしまうのです。

なので、お酒全般の飲酒量を減らさなければ意味が無いのです。

1度に缶ビール1本(350または500ml)で、この範囲であれば、プリン体の有無は神経質にならなくても良いという見解があります。

むしろ飲酒量を守り、週に1~2日は飲まない日を作ることが大切です。

尿酸値を正常にするには、食事の影響よりも、体内での合成や排泄の影響のほうが大きいとされています。

なので、プリン体ゼロのビールを選ぶより、飲酒量を減らすことのほうが効果的なのです。

他には、尿として排泄させるために尿の量を多くさせる必要があります。お酒やジュースでなく、水やお茶類などで飲む水の量が1日2リットル以上になるようにたっぷりと水分をとることが大事です。

牛乳については、尿酸の排泄を促す作用がありますが、飲み過ぎるとプリン体の取りすぎになることも。1日コップ1杯(200ml)が目安です。

プリン体は多かれ少なかれ、どのような食品にも含まれているので食事から追い出してしまうことは出来ないのです。つまり、どんな食品でも食べ過ぎるとプリン体の取りすぎになって尿酸値が上がってしまいます。

食品中のプリン体の含有量が多いのはレバー類やかつお、あんこう肝、さんま、いわしなどがあります。詳しい資料は公益財団法人 痛風財団 による食品中プリン体含有量(PDF)があります。

このほか、尿酸が尿に溶けやすくするために野菜や海藻類をたくさん食べるのが効果的です。毎食野菜100g以上(野菜料理2品以上)を食べることがおすすめです。

野菜をたくさん食べることは1日の摂取カロリーを抑えることができます。カロリーが抑えられるとダイエット効果があります。

痛風発作は、とても痛いもの。経験した人は「二度と起こしたくない」と思うほどなのです。

発作を抑えるためには肥満は大敵なので、体重は落としておくことは大きなポイントです。

肥満が解消されれば、同時に血圧や血糖値血中コレステロール値などが正常化していくことも多いので、体重管理はしっかりとしておきましょう。

このことから、プリン体ゼロのビールで安心してごくごく飲んでしまうのは、本末転倒。

本当は、プリン体が入っているお酒でも量を缶ビール1本程度に抑えることのほうが重要だったのです。

編集後記

私が管理栄養士になるべく勉強中の学生時代、「プリン体」という名前を聞いて「お菓子のプリンってそんなに体に悪いのか」と思いっきり勘違いしたことがあります。

本来の「プリン体」とは、その化学構造が「プリン環」というものを持った成分の総称なのです。ラテン語で核酸代謝物という意味の「プリンヌクレオチド」が由来。

つまり、お菓子のプリンとは、無関係なのです。

英語にすると プリン体は「purine」、お菓子のプリンは「Pudding」なので わかりやすいですね。