ダイエットクラスブログ

白黒つけたい砂糖の問題

2015年07月03日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いています。

私はこれまで保健所や病院、フィットネスクラブ、インターネットのメールを使って栄養相談を行っていますが、そのなかで必ず質問を受け、回数が多いのが

【白砂糖より、精製されていない黒砂糖が良いのではないでしょうか?】

というご質問です。

これは、精製された食品が悪で精製されていない、より自然に近い食品が良いという考えに基づいたものだと判断できます。

砂糖として白砂糖と黒砂糖の栄養的違いを比較するには食品に含まれる成分を知るために、日本食品標準成分表(通称食品成分表文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会 報告 )で調べます。これは日本で流通している食品のほとんどについて100gあたりについて含まれる栄養成分と含有量が網羅されている辞書のようなものです。

これには、白い砂糖(上白糖)と黒砂糖のデータが収録されていますので、栄養的な違いを正確に比較することが出来ます。

精製された上白糖は100gあたりの炭水化物量が99.2gで、ほぼ100%糖質です。

比べて黒砂糖の炭水化物量は89.7%で、上白糖に比べて糖質が少なくなっています。

その分何が増えているのかというと、主立ったものはカリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラル類とビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、パントテン酸、ビオチンといったビタミン類です。

この違いに着目して「精製された白砂糖に比べて精製度の低い黒砂糖のほうが健康に良い」といように解釈されているようです。

しかし、砂糖は1日にご飯や麺類のように400~450gなどとたくさん食べるものではありません。ビタミンやミネラルを摂るのなら、野菜や果物、海藻類などを食べる方がずっと効率的です。

しかも上記の違いはあくまで100g単位の話なので、黒砂糖から「ミネラルを補給する」というレベルではないのです。なので、上白糖と黒砂糖の違いは「感じる甘みの違い」「色合いの違い」しか差がないと考えて良いでしょう。

このほか、白砂糖と黒砂糖を比べると料理の仕上がりの色の違いがでてきます。白砂糖は料理の出来上がりに影響を与えませんが、黒砂糖は、黒い色がそのまま反映されてしまいます。このため、煮物などを黒砂糖で作ると濃い色合いに仕上がります。

しかも家庭で黒砂糖を使っていてもケーキなどの洋菓子、まんじゅうなどの和菓子、持ち帰り総菜の調味料などは色合いと味を考慮して白砂糖を使っています。

これは、白砂糖はあっさりとした甘み、黒砂糖は、後味までこってりとした甘みを持っているからです。

結局、家庭で黒砂糖を使って健康に気遣っているつもりでも、菓子店で買ったお菓子類や持ち帰り総菜で白砂糖を使っているので、無意識に食べているのです。

また黒砂糖も白砂糖も砂糖なのでカロリーは同じです。黒砂糖が健康に良いと考えても使用していてる、食べる量が過ぎれば肥満や生活習慣病の原因となります。

しかも、砂糖の種類にこだわって健康を守ろうとしても、マヨネーズなどを多く使ったり、油の多い食事をしているのは片手落ちです。

油も健康志向の油があり、トクホ(特定保健用食品)の「体に脂肪がつきにくい」油や流行のココナッツオイル、オリーブオイルにしても油には代わりがなく、通常の植物油とカロリーは同じです。

砂糖の種類にだけ目を奪われて脂肪の量やお菓子の摂取量、食事全体の量を気にかけないでいると肥満をはじめ生活習慣病の原因になることには代わりがないのです。

黒砂糖が良いという考えを否定するわけではありません。食というのは、その人の信念に関わるものなので、個人の自由だと私は考えています。

ですが、管理栄養士の立場からでは黒砂糖は特別に健康効果が高いわけでなく、わざわざ白砂糖から変える必要もない、というのが結論となります。

編集後記

三温糖と一部のコーヒーシュガーは黒砂糖ほどではなくても、茶色をしていて精製していない砂糖のイメージがあります。

しかしこの2種類とも、精製した白砂糖を高温加熱してカラメルにしたもので、決して「自然な色」ではないのです。これも誤解が多い砂糖神話ですね。