ダイエットクラスブログ

なぜか不摂生していても元気だったワケ

2015年06月08日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いています。

号外が連続していますが、速報なので今回は平成27年5月1日づけで発表となった日本動脈硬化学会の

コレステロール摂取量に関する声明

についてお届けします。

(携帯電話の機種によっては閲覧できません)

この声明は長文で小難しく書いてあるので要約しますと

1)一般の健康な人は食事(食品)に含まれるコレステロール量を制限する必要はない

2)ただし、高LDLコレステロール血症患者にも当てはまる訳ではない

3)食品中のコレステロール摂取量の制限で血中LDLコレステロールが低下する人と低下しにくい人があり、個人差が大きい

という内容です。

これまで、「コレステロールの多い食品を食べていたら高脂血症(脂質異常症)になる」と、回避していた人も多いかと思いますので、「健康な人は気にする必要はありませんよ」という学会の声明は衝撃的なものとなったのです。

しかし、栄養指導の現場では、各種研究結果の発表などから食品中のコレステロール含有量と血中コレステロール値との関連に関心の高い医師や管理栄養士はとっくの昔に(といっても2~3年前ぐらいでしょうか)

1)~3)のことを知っていて、実際の治療や栄養指導に活かしていたのです。

管理栄養士の立場からすると「個人差はあるので」と念は押しますがわざわざ健康な人にコレステロールを多く含む食品を控えるようなバカバカしいことはやりたくありません。

意味の無い「摂取食品の種類や量の制限」は食事を楽しむという生活の質を落としますし、かえって栄養のバランスを崩すこともあり得るものです。

では、その「個人差」の見極めはどうするかというと

1)年に1回以上は血液検査をして医師の診断をあおぐ

2)血縁のある親族に高脂血症(脂質異常症)のある人が何人もいるかどうか

ということになります。

2)は遺伝性の体質によって食品中のコレステロール含有量に影響を受けやすいかどうかを類推するものです。ですが、確実なのは1)です。

しかし、これで「食品中のコレステロール含有量が多い食品の量を気にせず食べても大丈夫!」というわけにはいかないのです。

声明にもあるのですが、そもそも食品中のコレステロール含有量が多い食品は、同時に脂肪や塩分が多く含まれていることが多いのです。

なので、高脂血症(脂質異常症)に関しては健康であれば制限の必要はなくとも、脂肪の摂取による肥満や塩分過多による高血圧を招いてしまうのです。

ですので、食品選びの選択肢としてこれまで食品中のコレステロール含有量を優先的に重視していたところを、コレステロールよりも脂肪や塩分の含有量に目を向けて選んでも良い、ということになったといえます。

なので、【健康であれば】、これまで食品中のコレステロール含有量が多いとして回避されてきた卵やししゃも、レバー類、うに、あん肝、いか、たこ、えびなどは、安心して食べることができるということが公に認められたのです。

1日に食べる食品数が多いほど栄養のバランスがとりやすくなります。量を過ぎるのは問題ですが、旬を楽しめる幅が広がったり食卓が賑やかになるのは良いですね。

編集後記

私が大阪に住んでいたころ、国立循環器病センター集団検診部(現 予防検診部)にて「血中のコレステロール値が高いけれど病名がつくほどではない」とういう人々の食事記録を細かく分析して栄養指導と栄養計算をしていました。

すると、挽肉料理を食べた人、つまりハンバーグやミートスパゲティ、麻婆豆腐などを食べた人の摂取コレステロール量が跳ね上がるのです。(注:挽肉は含有コレステロールが高い食品です)

通常の栄養計算ではコレステロール値は計算項目外なので、もちろん研究目での緻密な栄養計算です。

計算しながら同僚の管理栄養士と「ええっ こんなに高くなるの!」と驚愕の数字がでるのです。

くちぐちに「怖いわ~」といって「家でハンバーグ作るの、ちゅうちょするわ」「レトルトのミートソース、便利やったけど怖いわ」(注:レトルト食品全般に含有コレステロール量は多めです)
と言い出すぐらいでした。

かく言う私も怖くなって、ハンバーグを作ることも外食で食べることも怖くなってしまいました。

あの頃から10数年経過しての今回の声明。様々な研究者の成果だと感慨が深いです。