こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。
今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!
今号はリクエストがありました、
【日本のサプリメントについてと品質や医療現場での栄養補助に関する認識や使われ方について】
を取り上げていきたいです。
サプリメントについては、常にご相談が多く、皆さんの関心が高い話題です。
今回は、私が“これだけは知っておいたほうが良い”と判断をしてものを厳選してお届けします。
無味無臭のサプリメントは、食事内容に関わらず特定の栄養成分を取ることがでる優れた点があります。
覚えておきたいのは、サプリメントは錠剤やカプセル状の形態をしていますが「加工食品」であり、あくまで「食べ物」なのです。
TVCMなどでさかんに宣伝をしているので「私も何か飲まないと」とせきたてられるような気持ちになることがあります。
特に「病名がつくわけではないけれど健康に不安」という人の利用の裏には、自分の食生活のどこが不安なのか心当たりがあるはずです。
それをサプリメントで補おうとしているのですが、効果が期待できないものがほとんどです。
ただし、ビタミン・ミネラル類のサプリメントは栄養素の不足を補う役割をもっています。
しかし、不足をカバーするだけにしか役立ちません。やはり基本である食生活を見直して修正していくしかないのです。
特定のサプリメントを使用することで体調が良くなるケースもあります。
しかし、別の人が使用すると逆に体調不良(健康被害)が起きる場合があります。
これは日本だけでなく、世界中で起きていることで、実際に試してみないと、自分の体調に合っているかどうかはわからないのです。
仮に、全ての人に何らかの体調不良を改善するような効果があるような成分があれば医薬品になっています。
繰り返しになりますが、サプリメントは「加工食品」で「食べ物」であり、「薬」ではないのです。
日本の法律制度では、サプリメントや健康食品に医薬品に含まれるような治療効果のある成分を加えることを禁止しています。
しかしTVCMや健康情報雑誌などで、病気の治癒や改善をイメージさせる商品が数多くあるので、つい期待してしまうのです。
ですが、「改善された気持ち」になるだけで実際には良い健康効果を得ることはほとんどありません。
仮にサプリメントの使用だけで病気が治ったり、病気にかからなくなるであれば、日本国中、若々しく健康な人ばかりのはずです。
過去に次のような詐欺事件がありました。
まず、血液をとって
「赤血球が数珠つなぎ状になっています」
と話をし、顕微鏡で見せます。つまり、血液がドロドロ状態であると示すのです。
その後、特定の商品を利用した後に、もう一度顕微鏡でみると赤血球が1つ1つバラバラに、つまりサラサラになっているのです。
しかしこれは、赤血球の特性を使ったトリックです。
1回目と2回目では血液を採る量を変え、2回目を少なくしているのです。
これは血液の量を多めにとることによって、赤血球がつながって塊状にくっついた状態に見せたり、逆に少なめにとることによって、1つ1つ離れて赤血球がバラバラの状態に見せることができることが出来るからなのです。
日本の製品は海外製品に比べて安全性の高い商品が多いですが全ての商品が安全とは限りません。
また、安全なものでも使用して体調が悪くなれば、即中止をする勇気が必要です。
このほか、購入金額が高いほど、効果が保証されるものではありません。
さらに、サプリメントによっては良い健康効果をもたらすものばかりではありません。
使用して体調が悪くなる健康被害が出る例があることを忘れてはいけません。
医療機関で病名が診断され、投薬治療を受けている場合はサプリメントの使用が治療の足を引っ張ることがあります。
例えば、薬が効かない、効き過ぎて副作用がでる、医師が症状を正しく判断できないなど医療を台無しにしてしまうことが起きてしまうのです。
まずは利用しているサプリメントの成分名、使用量、使用頻度などをメモして主治医に必ず連絡しましょう。
これはガンでも、変形性膝(ひざ)関節症といった内科、外科などに全く関係なく正しい治療を受ける上で必要なことです。
医師のなかにはサプリメントや健康食品に拒絶的な態度をとる場合があり、言い出しにくい雰囲気があるかもしれません。
その場合は、比較的話をしやすい看護士などに相談してみましょう。
サプリメントでは特定の栄養素を単独あるいは複合して利用することができます。
様々な成分が数多く含まれていると、それだけ効果も高そうな気持ちになりますがそうではありません。
実際に利用する自分自身にとって不必要な成分が入っている可能性もあるのです。
医療現場では、科学的根拠に基づいて、人の体に有効と認められた栄養成分や各種成分しか使用しません。
サプリメントの成分の中には、科学的根拠が乏しく人にとって効果がはっきりしない、かえって有害な成分が混じっていることもあります。
医師によって特定の栄養成分が不足している、あるいは更に追加したほうが良いと判断があった場合には、医薬品として安全性が確認された製品を使用し、その成分を薬や注射などで追加する治療を行います。
医薬品として製造されている栄養素や栄養成分の製品は、サプリメントとは比べものにならないほど含有量が多い、あるいは吸収効率が良くされている、不必要な栄養成分がない、などの特徴があり、そのほか治療に必要な別の医薬品と同時摂取することで治療効果が高まるようにブレンドしてある場合もあります。
このため、標準的な治療では決してサプリメントを利用しません。
サプリメント製品に関する相談サポートは、その商品の品質の一部といえます。
使用するに当たって、あるいは使用をしはじめて疑問に感じたことを相談できる連絡先の有無は大切なことです。
販売業者によっては
「治る」「(がんが)消える」
「(体調不良が起きても)今は体から毒がでている状態だから、それを乗り越えれば良くなる」
などと説明するのはウソであり、薬事法違反です。
疑問に関して誠実な態度を取らない場合はその製品の利用は即中止しましょう。