ダイエットクラスブログ

どこまで日本食?意外な日本の食事データ

2014年12月22日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いています。

前回のメルマガで【管理栄養士が自分で買わないもの】のリストにわざと外したものがあります。

それはなにかというと【漬け物】です。

漬け物は古くから日本人に親しまれている食品で、冷蔵庫のない時代には野菜の確保源としても活躍していました。

しかし、冷蔵庫の普及で年中新鮮な、さらに旬に関係なく野菜が入手できるようになったのです。

漬け物は高塩分食で、これを多く食べる習慣のある雪国などでは高血圧、ひいては脳梗塞や心筋梗塞など死に至る病気が多くありました。

そこで減塩運動がはじまり、やり玉に挙がったのが漬け物です。

漬け物はその塩分の多さのために、大根を使った「たくわん」、野沢菜を使った「野沢菜漬け」も栄養学的には「野菜」に分類されません。

ですが、管理栄養士でも買う「漬け物」があるのです。

それが「キムチ」です。キムチは韓国の白菜を使った漬け物です。

キムチは日本の漬け物にある「辛さ」を唐辛子で補っているので塩分がやや少なめ。同じ白菜漬けであっても塩分を比べると

白菜漬け (1人前50g) 1.1g
白菜キムチ(1人前30g) 0.7g

と、0.4gも差があるのです。

キムチは唐辛子の辛さがあるため、1回あたりの量も少なくても満足感があります。

しかも塩分摂取量の目標は小数点以下1桁まで細かく目標が設定されているので、この0.4gはとても大きな差です。

そして、両者の大きな差は使える料理のレパートリーが断然キムチのほうが豊富な事です。

日本食がユネスコの無形文化遺産に登録されて世界に誇れるものですが、デメリットがあります。実は【世界的に高塩分食】なのです。

食生活が血圧に及ぼす影響をアメリカ、イギリス、中国、日本の4カ国について調べたインターマップ研究(The International Study of Macro and Micro-nutritents and Blood pressure 2003)というものがあります。

これによると、欧米人との体格差を考慮しなくても男女、年代ともに日本が最も塩分摂取量が多く、塩分の排泄を促すカリウムが最も少ないことが示されています。

カリウムは野菜や果物といった、植物性の食品に多く含まれています。

つまり、【日本人は自分達の予想外に野菜や果物を食べていないということが推測できる】のです。

そこで、便利なのが「キムチ」です。キムチを使った料理で日本の食卓でおなじみになったのが「キムチ鍋」と「豚キムチ」です。

どちらも、少量のキムチの使用と追加の塩分が不必要で野菜たっぷりの料理に仕上がるのです。

日本食の良さは、「懐が深い」ところにあります。それは、韓国発祥のキムチも家庭料理に取り込んでいるほかにも、中国発祥の「ぎょうざ」、インド発祥の「カレーライス」など、(インドではお米の代わりにパンのような“ナン”と組み合わせることがあります)世界各国の料理を日本風にアレンジして食べています。

このようにして、メニューのバラエティーを多くすることで「食べる食品数を増やして栄養のバランスをとっていること」です。

なので、野菜を多く食べる料理の食材として活躍する「キムチ」が、野菜としてカウントされない漬け物でありながら「野菜の摂取量を底上げする」という役割をになっているのです。

このため漬け物のカテゴリーにあるキムチがあるがために【管理栄養士が自分で買わない食品】リストに「漬け物」が外れてしまったのです。

しかし、世界的な長寿を支えているのは日本食。その良さはどこにあるのでしょうか?

これは、上記研究によって【脂肪の取り方】に大きな違いがあることが示されています。

このデータによると、日本人はイギリス人やアメリカ人に比べて動脈硬化の予防に有効とされている脂肪酸(EPA:エイコサペンタエン酸、DHA:ドコサヘキサエン酸など)を【圧倒的に】魚介類由来の脂肪をとり、動脈硬化の発症を促すとされている脂肪酸の摂取量が少ないことがハッキリとしています。

つまり日本人は、イギリス人やアメリカ人に比べてより多く魚を食べていて、肉を食べる量が少ないということです。

動脈硬化は生活習慣病を招く原因になり、放置しておくと死に至る脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。

上記研究は、戦後からバブル期を経た日本の食事の実態を反映しているとされています。

「昔ながらの和食が良い」と評価している人もいますが、高塩分というデメリットがあることがこれでわかりました。

それでも日本食の質の良さを支える要因の1つに

【どんどん世界各国の料理を取り込む特徴がある】ことがあるのです。

比較的塩分の少ない洋風料理を家庭料理に加えることで、塩分を押さえてより良い内容に変化をとげていて日本人の健康を支えていると考えられるのです。

これから「長寿食である日本食」の良さを引き出すには、「野菜を積極的に食べる」、「家庭でも食べる和食と洋風料理や中華料理を取り混ぜて食べる」ことがおすすめ、ということになるのです。