ダイエットクラスブログ

宴会シーズンを乗り切るお酒と牛乳の関係

2014年11月23日

こんにちは! 管理栄養士の菊池真由子です。

今回も、「あしたの健康」をお読みいただきありがとうございます!

今号も皆様の「あしたの健康」にお役立ち出来る情報を、身近なテーマとして書いています。

そろそろ忘年会やお正月といった「お酒を頻繁にたくさん飲む」時期を迎えました。

お酒は百薬の長と言われる反面「体に毒」とも評されています。

お酒が健康に貢献するような、例えば「焼酎なら血糖値が上がりにくい」、「赤ワインならポリフェノールが豊富だから健康に役立つ」など噂がありますが、【100%ウソ】です。

健康21とは簡単に説明すると、厚生労働省が定めた国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や国民の健康の増進の目標に関する事項等を定めたものです。

その中に、適切な飲酒量という数値が設定してあります。

「節度ある適度な飲酒」の上限は、純アルコール換算で「1日平均20g程度」とあり、例えばビールや発泡酒では中瓶1本(500ml)、日本酒では1合(180ml)、焼酎のお湯割りでは2杯(200ml)、ワインでは2杯(240ml)、ウィスキーではシングル2杯(60ml)までが無難な量です。

これは、ビール単独であれば、ワイン単独であれば、という表現です。

ビールや日本酒類の総合計分を飲んでも良いということではありません。

さて、お酒を飲むときに「空腹で飲まない」ことが大事です。

アルコール飲料は、その種類を問わず食欲を増進する作用があり、お酒にあうおつまみは高塩分高脂肪のものがほとんど。

特に高塩分(=味付けが濃いもの)のものはのどが渇きやすくなり、ますます酒量が増えがちです。宴会シーズンは高カロリーの食事が増えやすいので、相乗的に健康に悪影響があらわれます。

ところで、「飲酒前に牛乳を飲むと膜が張られて胃を守る」という話を聞いたことはありませんか?

しかし、これは勘違い。

そもそも牛乳は水のような食品なので、胃粘膜を守るほどの強固な膜を張ることはできません。

さらっと飲めてしまう牛乳も胃液で分解され、通り過ぎてしまい、胃を守るほどの効果は期待できないのです。

ですが、効果がないわけではありません。直前で飲んだ牛乳は、胃に入った食物やほかの飲料で胃の中でゴチャゴチャに混ぜ合わされ、脂肪(乳脂肪)が胃の運動を抑えて、アルコールの吸収を遅らせるのです。

しかもタンパク質はアルコール代謝に役立ちます。
つまり、【胃を守る】ではなく【アルコールの吸収が遅くなる】ということなのです。

お酒に酔うと、自分がどの程度飲んだかという量を把握しにくくなります。

これが悪酔いのもと。飲んで気分がさわやか、あるいは明るくなった程度で抑えておくのがコツです。

しかし、無理に勧めてくる人がいるのもたしか。
悪酔い防止にと飲む前にチーズを食べる人がいますが、
これは正解。

チーズに含まれるタンパク質が牛乳と同じ効果で、アルコールの吸収を抑えからです。

宴席や付き合いで飲む機会が連続するときは、乾杯程度で抑えておきます。

その後は、強引に勧められないようするためと、アルコールの吸収をゆっくりさせるという2つの意味で「ゆっくり落ち着いて」あるいは「ちびちび」飲むのが効果的です。

ノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)、ウーロン茶などを利用をするのも1つです。

宴席でのおつきあいも大事ですが連続するとお酒、つまり体にとって毒となる摂取量が増えます。

これはアルコールを体内で無毒化する肝臓にとっては大きな負担になります。

そこで、肝機能を高めると言われるウコンが含まれたドリンクなどが人気です。

しかし国立健康・栄養研究所の「健康食品の素材情報データベース」では、ウコン(クルクミン:カレーなどに使われるスパイス)について、俗に、秋ウコンは「肝臓の機能を高めるといわれ、消化不良に対しては一部にヒトでの有効性が示唆されているが、信頼できるデータは十分ではない」としています。

つまり、もしかすると二日酔いなどには効果が期待できるかもしれませんが、結局、日々の飲酒量の管理が大事、ということなのです。

編集後記

私が栄養相談をした方でこういう方がいらっしゃいました。

「赤ワインってポリフェノールが多いって聞いたのですが、家内はお酒が飲めないんです」

「別に無理して飲む必要はないんですよ。赤ワインのポリフェノールはブドウの皮から出来ているので、巨峰とか皮が紫色のブドウで大丈夫です」(注:ものすごく平たく説明しているので詳しいことはツッコまないでください)

「ああ、そうなんですか。実は、家内にも赤ワインをとらせようと思って、水じゃなくて【赤ワインでご飯を炊いた】んですよ」

「え?」

「そしたら家内がご飯を一口食べただけで卒倒しちゃって」

健康のためなら予想外の行動をする人がいるもんだとかどうしたらそういう発想になるんだ?とか一瞬呆然としそうになったのですけれど、

「ご飯を炊くときって、洗ったお米に水を多めに入れて炊きますよね。でも炊きあがったごはんに余分な水分とか残ってないですよね」

「そうですね」

「これは、『炊く』ということでお米の粒に水分が全部吸収されているからなんですよ。だから、赤ワインが全部お米に吸収されちゃって、【濃縮赤ワインご飯】が出来ちゃったんです。」

お酒で健康を求めるのはやめておきましょう。