本当にカロリーが半分に?

ココナッツオイルでお米を炊くとカロリー半分!?】 という記事をみつけました。

密かなブームのココナツオイル。仕掛け人はわかりませんが、ケトン食(ケトン食の説明は長くなるのでカットしますが、低糖質食みたいなものです)を推奨している順天堂大学の白澤卓二先生が押しているオイルです。

通常の料理に使うのが一般的ですが、お米を炊くときに一緒にいれるとカロリーが半分になるという研究成果がでたということです。

もともとはスリランカの研究で、料理にココナッツオイルをよく使い、なおかつ米食習慣のあるスリランカならではのものです。

記事によると ***ここから引用

調理の過程でココナッツオイルに含まれる脂質がお米のでんぷん質に入り込み、でんぷんの成分に変化をもたらす結果、消化されにくいでんぷん(レジスタントスターチ)に変わることが分かった、というのが報道の内容です これはつまり、通常であれば消化されやすいでんぷんであるお米が、ココナッツオイルを加えて炊くことで、小腸で吸収されにくい、食物繊維のような炭水化物に変わるということ。

したがって、血糖値を上げて脂肪として蓄積される可能性が低く、お米を食べても太りにくくなるというメリットをもたらすと発表しています。

***引用ここまで

ということで、お米が消化しにくいでんぷんに変化するからカロリー半分になる、という理屈です。

さて、残念なことに、肝心なことが2つ抜けています。

1つは、スリランカと日本では炊飯方法が違うために どこまでココナッツオイルによるデンプンの変化が起きるかが確認できていないこと

つまり、スリランカではお米を茹でる、あるいは煮るようにして炊きますが、日本では、お米を煮て、さらに蒸らしてから食べます。加熱時間もことなりますので、お米1粒1粒へのココナッツオイルの浸透や作用が未確認であることです。にっほんで常食されるお米にどこまで「カロリー半減効果」が期待できるかは未知数です。

使用するココナッツオイルは少量のようですが、日本人はしっとりしたもちもち感のあるお米が好きです。一方スリランカではパラパラのお米が好まれます。ココナッツオイルが米粒1つ1つに薄くでも油膜をはってしまうとパラパラめのご飯に炊きあがってしまい美味しさが減るかもしれません。味が美味しくなければダイエットは続きません。

2つめは実際にこのココナッツオイルで炊いたご飯を行って期間連続して食べた「日本人」が、通常の炊飯方法でのご飯を同量食べた「日本人」と比べて、きちんとダイエット効果があったかの検証ができていないことです。日本の研究ではないので仕方がないことですが、スリランカ人と日本人では人種差があって遺伝情報が異なるので吸収率に差が生じる可能性があります。 カップ1/2のお米に対して(お茶碗1杯)に小さじ1杯なので、お米のカロリーは減っても摂取油脂量が増えるので、脂肪エネルギー比が上がってしまいます。

そもそも日本人でお米の量を減らしてダイエットをしなければならないような人はメタボの人が多く、根本的にご飯や糖質(パンや麺類)の量を調節するだけでダイエット効果が得られるケースがほとんどです。

着目点がユニークなダイエット方法で、レジスタントスタートは食物繊維の一種なので健康効果はえられそうです。ただし「本当にカロリーが半分になるのか」「カロリーが半分になったお米でダイエット効果が得られるのか」は疑問が残るところです。