トマトの免疫力

 

『トマト、香りで助け合い 害虫の危機伝達 京大など解明』
記事引用
害虫に食べられた仲間が発する香りの成分を取り込んで、自分の体のなかで害虫を減らす毒に作りかえる。そんな巧妙な仕組みでトマトが危険から身を守っていることを、京都大や山口大のチームが解明した。植物の抵抗力を生かした新タイプの農薬の開発につながる可能性がある。

単純に感嘆しました。トマトは自分にとっての害(葉を食われる=生命力を奪われること)から、自らの香り成分で守っていたわけです。これって、生命の危機から自然な治癒力(トマトのケースは間接的ですが)を発揮していたという事実。たしかに新タイプの農薬になりそうです。

従来の農薬も、一概に排除されるものばかりではありません。例えば、害虫の甲羅にだけ作用するもの(ヒトに甲羅はありません)など、進化は遂げています。ただ、従来の農薬は「害虫が寄ってくるから駆除する」という前提。それが今回の研究結果によって「害虫が寄ってこないようにする」という考え方に転換したということなのです。まさにコペルニクス的展開です。

農薬に関しては、個人レベルで考え方が多様で、しかも信条としてしっかりとある傾向の強いものだと思います。私も従来からある農薬全てを擁護するつもりはありません。農薬メーカーの消費者への説明不足を否定できないからです。説明があっても、一部関係者対象であったり、難解、一般消費者への普及度の低さなど課題は山積していると思います。

しかし、農薬は食糧の安定供給にとって必要なもので、むやみに否定できません。作物によっては(例えば国産リンゴ)は使用しなければ予想収穫量が3%を割り込んでしまいます。たった3%です。こうなるとリンゴは貴重な食品となり、気軽な果物ではなくなってしまいます。逆に散布回数が少なくてもしっかり収穫できる作物もあります。(ここでは話が大きくなるので遺伝子組み換え作物については触れません)
そのほか、葉っぱには散布するけれど、食べる部分は土の中にある人参などはどうでしょう。

話がそれましたが、今回の研究成果をベースにした農薬が栽培農家の市場に出回ると、消費者の農薬に対する考えかたが変わるかもしれませんね。

農水省が【病害虫や雑草による被害はどの位か】を調べています。
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html

注意して読みたいのが「推定収穫減少率(平均)%」で、「減少率」ということです。例に挙げたリンゴは予想減少率が97%。繰り返しになりますが、病害虫や雑草対策をしなければ3%しか収穫できないし、人手だけでどうこうできるレベルではありません。農薬などを使用しなければ、どういうことになるでしょうか。
農薬について考える時、頭の片隅にでも置いておきたい情報だと思います。

 

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